ベトナム経済の分析

ベトナムは正式名称は「ベトナム社会主義共和国」。元首は国家主席。共産党の一党独裁制で、一昔前までは国内企業はすべて国営で民営化が進み、財産の一部が認められたのは1986年のドイモイ政策以後のこと。言い替えれば、ドイモイ政策以降の90年代から2000年代はベトナムは高度経済成長期に突入します。

①ベトナムの平均年齢は30歳未満!
日本人の平均年齢は、2018年の時点で47歳です。日本の高齢化社会問題は置いておき、一方見てほしいのがベトナムの平均年齢。こちらはなんと「29.6歳(統計局)」となります。びっくりするほど差がありますね。ベトナムは長きに渡ってベトナム戦争が続いていて、民間人の死傷者が多かったため、平均年齢が一気に下がったのが原因です。

②ベトナム人の平均年収は25万円程度!
IMF統計では、ベトナム人のGDPは約2400ドル(2018年度)。経済成長率は4~7%で順調に推移しています。一方日本は4百万ちょっと。単純計算で20倍以上の開きがありますね。ホーチミンで働く新卒の月収は2万~4万円程度。英語や日本語など外国語が堪能で、なおかつ社会人経験、留学経験があると、約8万~12万円ほどになります。カフェは一杯50円~500円と驚くほど差があり、これと同様に経済格差が国民の間、地域の間で生じている問題も挙げられます。

③戸建て&マンションブームの光と影

建設ラッシュはここ5年ほど激しく続いています。
現在ベトナムでは都心を中心にマンションブームが続いています。2020年をめどに地下鉄メトロが開通する事情もあって、駅周辺の地価が驚くほど値上がりを続け、さらにその土地やマンションを買いあさる富裕層が頭角を現しています。「ベトナム人の平均年収21万円なんて嘘だろう」と思いたくなるような金持ちベトナム人がホーチミンにはわんさかいることを思い知らされます。高級マンションと呼ばれる部類になると、相場は1500万~3000万円ほど。一方郊外は土地と家付きで数百万円がゴロゴロあります。ミドルクラスからハイクラスのマンションは確かに嘘のように売れていますが、しかし、これは国民所得が上がっている証拠ではなく、一部の富裕層がいくつも買いあさっているだけ。実際一般人はこれほど高いマンションを買うことはできません。

④ベトナムで首相は一番ではない!
社会主義共和国であるベトナムでは、日本とは政治トップの序列が異なります。日本では首相がトップですが、ベトナムでは国家主席が1位。次いで2位が共産党書記長。そして3位に首相となります。ただし、首相は経済を決めるトップと言ってもいいので、よくテレビなどで見かけるのは首相となります。ただし、その首相は国家主席によって指名されるので、国家主席は明らかにその上に立っていることが分かります。

⑤成長する民間企業
中小企業は年々爆発的に増えています。
ドイモイ政策以後、ベトナムも徐々に民間企業が増えていき、政府方針としては少しずつ国営の手から離れることを掲げています。現状は大手民間企業のほとんどは政府が株の大半を握っていて大株主となっています。しかし、近年は徐々に政府がこの株を手放していく傾向が見られます。ただし、石油、ガス、電気といった重要資源に関しては、いまだベトナム政府がすべての権限を握る国営が続いている現状もあります。

⑥ホワイトカラー職がステータス!
スーツを着たビジネスマンの商談風景もカフェのいたるところで見ることができます。
あまり好ましいとはされていませんが、俗に言われているホワイトカラーとブルーカラー。近年ベトナムは発展に伴い企業も増えてきています。その企業で働くオフィスワーカー、ビジネスマンをホワイトカラー職と呼び、彼らにとっては「いい仕事」のステータス的存在となっています。日本では企業の社員として働くのは普通ですが、ベトナムではここ最近の出来事。

⑦日越の直接投資額は全体の2位!
高層ビルはベトナム経済の象徴と言ってもいいです。
ベトナムに一昔前から積極的に経済に投資してきたのは、日本のお隣の韓国。現在もその状態は続いていて、ベトナムへの直接投資額は507億ドル(外国投資庁調べ)と外国全体の1位。そして2位は420億ドルの直接投資をしている日本。3位以降はシンガポール、台湾と続きます。投資の内訳は、製造業が圧倒的。次いで卸売り、科学技術となります。

ベトナムの経済は今後も堅調だが問題も山積み
御覧いただいたように、ベトナムは現在社会主義であるものの、社会主義の枠組みを異例に抜け出して、一部では非常に民主化が進んでいます。毎年国民所得や物価は堅調にインフレを起こしていて、国民の生活は確かに豊かになっています。しかし、発展途上国すべての国が抱える共通する問題もまたあります。今後も5年、10年という短いスパンで、ベトナムはみるみると変わっていくことでしょう。